「モンテッソーリ教育」と聞くと、多くの人が子ども向けの教育法という印象を持つかもしれません。でもその理念を自分の生き方や子どもとの関わり方を見つめ直すヒントにできないかと考えていました。今回の記事では、「大人になってもモンテッソーリ理念を取り入れることができるのか?」という疑問について、私自身の体験も交えながらお伝えしていきます。子育てで日々忙しいお母さんが、自分自身を取り戻すためのきっかけになるかもしれません。
“大人のモンテッソーリ”が注目されるワケ

モンテッソーリは「子育て法」ではない?
モンテッソーリ教育は、イタリアの女性医師マリア・モンテッソーリによって確立された教育法で、一般的には幼児教育として知られています。しかし本来の考え方は、人間全体の成長に関わる深い哲学です。そのため子どもだけに限らず、大人の生き方にも応用できるという点で、今あらためて注目されているのです。
特に、社会で生きる私たち大人にとっても、「自分で選び」「自分のペースで進み」「失敗から学ぶ」という基本的なモンテッソーリの考え方は、大きな支えとなります。日々の暮らしや仕事、人間関係の中でも、自分の内側に目を向けながら柔軟に対応していく力が養われるのです。
心を整える「観察」と「環境づくり」
モンテッソーリ教育の根幹にあるのが、「観察すること」と「環境を整えること」です。これは子どもに対してだけでなく、大人自身にも適用できます。
例えば、毎日の生活で感じる疲れや焦り。それらは自分の内面をきちんと観察することで初めて気づけるものです。そして、自分にとって心地よい空間やルーティンを整えることで、思考がクリアになり、心も落ち着いていきます。
観察と環境整備は、現代におけるマインドフルネスやセルフケアにも通じる重要な要素。モンテッソーリ教育は、そうした実践を自然な形で促してくれるのです。
私がモンテッソーリで人生を整え直した話

子どもの教育から、自分の学びへ
私がモンテッソーリ教育に興味を持ったのは、第3子を妊娠したことでした。初めは育児書の一つとして読み始めたのですが、その内容は想像以上に深く、自分自身の育児方法を見直しながら私が受けてきた子育てのことを思い出させてくれるような感覚でした。
特に「子どもの主体性を尊重する」という考えは、私が日頃感じていた「うまく育てなきゃ」「ちゃんと教えなきゃ」というプレッシャーを和らげてくれました。それだけでなく、自分自身の行動や思考の癖にも気づかされました。
朝の支度ひとつ取っても、以前は時間に追われてイライラしていたのが、子どもと同じように自分にもゆとりを持たせるように意識することで、毎日がずいぶん楽になりました。完璧を目指すよりも、自分が穏やかにいられることのほうがずっと大切だと実感したのです。
手放すことで自由になれる
モンテッソーリの学びで特に心に残っているのが、「大人が手を出しすぎない」という教えです。子どもが何かをしようとしているとき、つい手伝ってしまったり、正解に導こうとしたりしてしまう私の癖に気づきました。
そこで思い切って見守るという姿勢を意識するようにしました。すると不思議なことに、それは子どもに対してだけでなく、自分に対しても効果がありました。
失敗する自分を許せるようになり、スケジュールを詰め込みすぎることも減り、SNSや周囲の評価に振り回されることも少なくなりました。まるで肩の荷がすっと下りたような、そんな感覚がありました。
子どもに対してできるようになるまで見守るという姿勢は、自分自身に対しても完璧じゃなくてもいいと許すことに繋がっていたのです。
➤私が手放した子育ての考え方を知りたい方はこちらの【つい怒ってしまうママパパへ。子どもとの関係が変わる接し方】の記事もぜひチェックしてみてください!
今日から始める“大人のモンテッソーリ的生活”

日常に取り入れたい3つの習慣
モンテッソーリの考え方を実生活に取り入れるのは決して難しいことではありません。たとえば、日々の選択を少し意識的にしてみるだけで、生活の質は大きく変わります。朝の服選びや夕食の献立など、何気ない選択にも「今の自分に合っているか」と問いかけてみると、自分に必要なものと不要なものが見えてきます。また、自分の感情や体調に気づくことも、モンテッソーリの“観察”にあたります。「今日はなんだか疲れているな」「少し焦っているかも」と感じたら、自分をいたわる時間を作るようにしています。
さらに、空間を整えることも非常に効果的です。散らかった部屋は心の状態を映し出す鏡のようなもの。机の上やキッチンを少し整えるだけでも、頭の中がスッキリし、前向きな気持ちになれます。
子育て中だからこそ、必要な考え方
子育てに追われていると、自分のことは後回しになりがちですよね。でも、自分自身の心と体が整ってこそ、子どもにも穏やかに接することができると私は思っています。モンテッソーリの理念は、人間の本質を大切にする考え方です。それはつまり、大人である私たちにも必要な視点なのです。子どもに何かを教える前に、自分が実践してみる。そうすることで、子どもとの関係性も変わっていきますし、何より自分自身の心の安定に繋がります。
まとめ|子どもと一緒に育つ、大人の学び直し

「大人になってもモンテッソーリ理念を取り入れることはできるのか?」という問いに対する答えは、間違いなく「はい」です。むしろ、子育てや仕事で日々葛藤している今だからこそ、モンテッソーリの考え方が心に響くのだと思います。他人に合わせすぎず、自分のペースを大切にすること。うまくいかない日も、学びと捉えて前を向くこと。そんな姿勢が、子どもだけでなく私たち大人にも必要なのだと、改めて感じています。
子どもを育てながら、自分も育つ。そんな暮らしの中で、モンテッソーリの理念がやさしく支えてくれることを、私は身をもって実感しています。あなたも今日から、少しだけ“自分を大切にする時間”を意識してみませんか?
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